12.快晴のち、

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「あーあ。僕ってなんだかんだ、お人好しなんだろうな。そして結局、あの人の忠犬やっちゃってるわ」 中町さんが車のハンドルを握り、半分目を細めながら言った。 「幸田さんに、気持ちを受け取ってもらえないの分かってるんだけどさ。柳川さんが頼れなかったら、僕を頼っていいから。いつでも、だよ」 「中町さん、お優しいですね。ありがとうございます」 「ははは」 人差し指の付け根で鼻先を触りながら、中町さんが笑う。 「絶対色々分かってないよね、幸田さん。でもまぁ、いいや。今日はとても楽しかったよ。色んな意味で忘れられない一日になりそう」 「私もです」 そう私も、色んな意味で、忘れられはしないだろう。 「疲れちゃったね。本気で帰ったら、何もせずに玄関先で寝ちゃいそうだよ」 「あはは。私もそうなりそうです」 「でも今日は大成功だったよ。これで会社も、少しずつ良い方向に行くと思う。僕からも本当にありがとう」 「こちらこそありがとうございました」 中町さんが松濤の家まで送ってくれた。 「じゃあ次は、引越しのお手伝いにまた来るよ。お疲れ様」 「本当に色々とありがとうございました。気をつけて帰ってください」 道中で買った、私がリクエストした牛丼が入った袋を片手に、車が見えなくなるまで手を振った。 体はぐったり疲れていたけれど牛丼は全部食べて、それからシャワーを浴びて歯を磨く。日曜日だから家政婦の仕事はお休みだしと、気にせず早々と就寝させてもらった。
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