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「果穂ちゃん」
「果穂ー!」
皆が駆け寄ってくれて、私たちはそれぞれお互いを抱きしめあった。
「最後にちょっとお茶していきなさい。お菓子用意しているのよ」
「ありがとうございます。お言葉に甘えさせてもらいます」
BGM代わりにテレビをつけながら、私たちはこれまでの思い出を語り合う。楽しい時間は早々と過ぎていった。
(お弁当はもう、食べ終わったかな・・・)
最後の最後まで元主のことを考える私は、相当な愚か者だろう。
『ー・・・緊急速報です。千代田区にあるツキセイフード本社ビル外で、発砲事件がありました。ツキセイフード株式会社の現副社長、柳川成仁氏が被害に遭い、意識不明の重体です』
スナックの店内がしんと静まり返る。自分の心臓が止まったと本気でそう思うくらい、息ができずにいた。誰も言葉を発せず、ただテレビに釘付けになるしかなかった。
『警察は現場にいた野崎綺羅二十七歳に事情聴取をしています』
いてもたってもいられなくなった私は、スナックみさきを飛び出そうとする。
「どこ行く果穂。今ツキセイ本社に行ったって警察に追い返されるだけで、何にもならないぞ」
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