2.声を合わせていただきます

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昼を過ぎ、日が暮れて夜になる。夕陽が差す窓辺を見ながら再びキッチンに立ち、十九時に夕飯を作り終えた。 きんぴらごぼう、ほうれん草のしらす和え、ワカメとじゃがいもの味噌汁に、大根おろしと紫蘇を乗せた豆腐ハンバーグ。 冷蔵庫にあった食材を基本に、足りないものは自分の財布から、一番近くのスーパーで買い足した。 食材を買うためのカードは渡されていたけれど、今日はまだ勤務前で、私が勝手に作っただけなので使わなかった。 自分も軽く食事を済ませ、柳川さんの分はラップをしてテーブルに並べる。 柳川さんは何時に帰ってくるか分からない。でも次期社長という立場から、早くはないのだろうと思う。 お父様は昼過ぎに帰ったようだ。ツキセイフードの創業者一族・・・家や別荘がいくつもあるのだろう。庭に出た時車のエンジン音が聞こえて覗いたら、門の外にベンツが止まっていて、お父様が乗り込んで行くのが見えた。 二十時半になり、お風呂に入らせてもらうことにした。 家が広くて浴室を探すのに苦労する。 キョロキョロ首を動かしながら、私の部屋から向かって右奥に浴室を見つけた。
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