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第3話「プリンセス、サラ」
〇登場人物紹介〇
サラ=黒蝶=ブラックフィールド 15歳
病弱な黒蝶の妹。育ちの良い雰囲気だが…
🌛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌛
木製の白い扉の前に着く黒蝶は、二回ノックをして中に呼びかけた。
「俺だ、サラ。帰ってきたよ」
「まあ、レオン王子様とご友人の方ですね。 さあさ、こちらへ。サラ姫様がお待ちです」
ドアが開き、女性の看護師が現れて、黒蝶と姫菜を部屋の中へ招いた。
◇ ◇ ◇
部屋は女の子の部屋らしくぬいぐるみや可愛い小物が多く、レースとフリルがあしらわれた豪華なダブルベッドには、可愛らしい金髪の少女がナイトドレス姿で座っていた。
「お兄様、お帰りなさいませ。お帰りをずっと、お待ちしておりました!」
「ああ、サラ。ただいま! 長く帰って来られなくてごめんな。」
黒蝶とサラは手を握り合った後、姫菜に向き直った。
「こちらが、朱井姫菜さんですのね。お母様からメールがありましたわ。」
「はじめまして、サラ姫様。私が姫菜です。」
姫菜が緊張して挨拶すると、サラがふわりと柔らかく微笑み
「そんなに緊張をなさらないで? サラで良いですよ。わたくしも、姫菜ちゃんって呼びたいです。できれば敬語もなしで」
「ありがとう。サラちゃん!」姫菜は緊張の糸が解けて、ふにゃりと笑う。
姫菜とサラは、すっかり打ち解けて話をし始めた。
黒蝶とサラを交互に見ながらフムフムと、改めて観察する姫菜。
「びっくり、双子なんだね! レオとサラちゃんは。」
メイドが紅茶を入れているのを黒蝶も、手伝いながら話す。
「そうなんだ。サラは未熟児でさ……。幼いころから病弱で、良く俺も母さんと看病したなぁ」
「今も心配かけてばかりで、ごめんね。お兄様」サラの瞳が涙でうるむ。
黒蝶は、そんなサラに近づいて彼女の肩を抱き、涙をハンカチでふいた。
「兄妹じゃないか、そんなことは気にするなよ。たった一人の可愛い妹なんだからさ」
「うふふ、ありがとう。お兄様」サラは泣きながら笑っている。
(レオってやっぱ、優しいな!)
姫菜はそう思いながら、ふたりをにこにこと見ている。
お茶の用意が終わり、紅茶とコーヒー。黒蝶特製マドレーヌ、姫菜の持ってきたお菓子がテーブルの上に並べられた。テーブルの上には、黒蝶がサラにおみやげに持ってきた可愛いキーホルダーも置かれている。
「う~ん。やっぱりおいし~い! レオまた、腕上げたね。」
「久しぶりに、お兄様のお菓子を食べましたわ。おいしくっていくつでも食べられますね。」
「そうか? サンキューな! 姫菜、サラ」
あっという間に楽しい時間は、過ぎ去り黒蝶と姫菜が元の世界へ帰る時間が来た。
「お兄様も姫菜ちゃんもふたり共、今日は泊まらないのですか?」
「ごめんな、明日は学校なんだよ。また来るからな」
「ごめんね、サラちゃん。また来るね」
「きっと、ですよ……」
サラは、部屋の出口まで行って黒蝶達を送っていたが、顔色が突然、すうっと青白くなり
そのまま、前のめりに倒れかかって来た。慌てて看護師やメイドが支える。
「サラ!」
「サラちゃん!」
サラはベッドに寝かされて、王室付きの医師の診察を受けている。
しばらくして姫菜、黒蝶、王妃達が部屋の中へ呼ばれた。
「サラ様は王子様が帰って来られて、ご無理をなされていたようですね…薬を打ちましたので、大丈夫だとは思いますが……。私では」
「そうだ、あの人ならサラの病気だって!」
黒蝶は、渋い表情をしていたが、突然思い立ち姫菜に相談した。
黒蝶の話しでは、狂い咲きの森と呼ばれる場所に、医学と魔法を得意とする、森の魔女が住んでいるという。その人なら、サラの病気を治せるかもしれない。
黒蝶と姫菜は、看護師と王妃にサラを任せて空に浮かぶ島に存在する。狂い咲きの森に行くことになった。
サラ=黒蝶=ブラックフィールド
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