人喰らいの忌み子

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人喰らいの忌み子

 その子が生まれて初めて聞いたのは、悲鳴だった。  迎えた産婆が、付き添った父親が、見下ろした母親が、揃って悲鳴を上げた。  右の目玉がなく(うろ)になっていた。上唇の内から大きな牙が生えていた。  右腕全体が黒い毛におおわれていた。左手の指先からは鋭い爪が生えていた。  元気よく産声を上げるその子を、どうしたものかと皆が見つめた。
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