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牢の鍵束を掴み、忌み子は女の牢の前に立った。
看守が殺害された時から異変に気付いていたのだろう、女は鉄格子の傍に歩み寄っていた。
「まぁ、来てくれたのですね」
女が優しく語りかけ、すぐに窘める。
「無茶をしてはいけませんよ。死んでしまったらどうするのですか」
しかし、忌み子は言葉を解さない。ただ、鍵束を持った手を鉄格子の中へ差し込んだ。
女が忌み子の手から鍵を取り、牢の鍵を開ける。
鉄格子が開いた瞬間、忌み子は女に飛び掛かり、押し倒した。
忌み子の口から荒い息が漏れ、涎がどろりと垂れる。それを見た女が、笑みをこぼして息を吐く。
「構いませんよ。食べなさい」
忌み子は女を好き放題に喰らった。肩に、腹に、乳房に噛みつき、食いちぎっては咀嚼して飲み込み、その間に再生した女の肉を再び喰らった。
ひとしきり貪って満足した忌み子は女を離した。
「では、行きましょうか」
何事もなかったかのように立ち上がり、歩き出す女。忌み子はそれを追い抜いて前に立つ。
外には無数の兵士がいる。異変にはまだ気づかれていないようだが、外に出ればきっと見つかるだろう。そうなれば襲い掛かってくる兵士たちを倒し、女を逃がさなければならない。忌み子が、女を先導するように歩いてゆく。
その手を、女が掴んだ。
「私が先に行きます。あなたはあとに続きなさい」
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