運命の赤い糸

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急いで自分の席に戻り、さっき矢口が見せてきたアカウント名を打ち込む。 どうせ変な形の道端の石ころとか意味の分かんない写真でも載せてるんだろうな、と期待せずに覗いた私は目を離せなくなってしまった。 そこに写っているのは、鮮やかなオレンジ色の夕日が海に沈む前の写真や桜の花びらが風に飛ばされている風景、子猫やすずめの可愛らしい姿など。 どれもこれも美しく、構図にも凝っているのが分かり、悔しいけれどセンスの良さを感じさせられた。 フォロワーも結構いた。 「美紗っち、なに見てんの?わぁ、めっちゃ可愛いー」 ぎょっとして振り向くと、後ろから私のスマホを覗き込んできた樹里が興奮している。 「何これ、誰のインスタ?」 「あ、いや、これ?あ、中学の時のクラスメイトなんだけど……。地味でブスで魅力ゼロの奴なんだけど、こんなとこだけ少しはマシだったみたいね」 「へー。私、フォローしよっかな?」 「いやいや。止めといた方がいいって。知り合いだと思われたらドン引きされるよ」 「マジで?美紗っちがそこまで言うんじゃ、止めとこ」
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