運命の赤い糸

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次の日からも岡田は今まで通り、何事もなかったかのように普通に接してくれてありがたかった。 後で樹里から聞いた話では、岡田はカフェで出会った彼女と付き合うことにしたそうだ。 これで安心して日常生活を送れる。 そうなると気になるのは矢口だ。 私は朝早く登校するようになり、グループメンバーが来る前の時間を利用して矢口と話をするようにした。 昼休みも隙を見つけては矢口の前の席に陣取った。 聞くことは専ら写真の事についてだ。 一緒にスマホの画面を見ながら「この場所はどこ?」とか「この時、気を付けたことは?」とか思った疑問を素直に聞くと、矢口は得意げに答えた。 写真は集中して一枚だけ撮るのではなくて、良いと思った時にたくさん撮っておくらしい。 家に帰ってから撮った写真の中から気に入った一枚を選ぶのだと言う。 その作業に没頭してしまうと、気付いたら深夜になっていて学校で眠くなるんだって。 今はスマホで撮影しているけど、将来は自分で働いたお金で高いカメラを買いたいんだって。 こいつなりにちゃんと夢を持っていたことに、私の浅はかな決めつけでキャラ設定して見下していたことを恥じた。
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