運命の赤い糸

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私は運よく容姿に恵まれた。 そのことは幼い頃から感じ取っていた。 先生や大人は優しいし、私の周りには勝手に人が集まってきた。 どのクラスに入っても、ボス的な存在の女子に仲間に引き入れられる。 どうやら、私と友達になることで美人が仲間にいるという優位な立場を築きたいらしい。 だから私は、美人で居続けることに使命感を持って過ごしてきた。 スタイル維持に気を使い、ノリの良い会話が出来るように勉強した。 そうやって手に入れたカースト上位グループの一員という立場はクラスでの立ち振る舞いが楽になり、過ごしやすい学校生活を送れる。 このグループから必要とされなくなったら、私はどうなるんだろう。 見栄えが良いだけのつまらない女子っていうレッテルを貼られて、寂しい学校生活が待っている。 私は素の自分を殺し、みんなが求める『美人でノリの良い八巻美紗(やまきみさ)』を演じなければならない。 結局はお互いに利用し合って利益を共有する、共依存の関係になっている。
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