6.藤原重家

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6.藤原重家

 そんなある時、宮中でちょっとした事件が起こった。美男子として女性たちに持て囃されていた藤原重家が、ある女孺と関係を持ち、その女孺に子供が出来た。ところが、あろうことか重家は、あっさりとその女孺を捨ててしまったのである。  その噂は瞬く間に宮中を駆け巡り、捨てられた女孺はショックのあまり寝込んだ上に、流産してしまう。  モテモテだった重家だったが、これには、女性達も嫌悪感を露わにして、重家に抗議のひとりごつを次々に送りつけたのだった。  中でも弁の立つ諾子と香子が、重家に繰り返し送りつけた抗議文は凄まじかった。  敵の敵は見方、マイマイがプラという法則に従い、この時ばかりは二人の論調が見事なまでに合致した上に、語彙力もハンパないものだから、考えつく限りの罵詈雑言を書き連ねては、重家に送りつけた。  歴史上、重家は早々にして出家するのだが、二人による集中砲火が原因だったかは定かではない。
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