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大会が始まる前に、初春ちゃんがわざわざ体育館の入口で僕を待ってくれていた。
「タックン、トーナメント表見たんだけど、もし勝ち上がったら、四回戦で当たるみたいね。それでさ、もし私が勝ったら今度……私とデートしてくれないかな?」
初春ちゃんの首を傾けながら微笑む姿がすごく可愛い。
デデデ、デート? そんなもの経験ないし、なんて返事すればいいのかわからない。でもそれって僕に好意を持ってくれてるってこと?
「なーに、イチャイチャしてるのよ」
「春香先輩!」
春香先輩がグイっと僕の首を寄せ、腕を回すと背中に柔らかいものが当たり、僕は赤面した。
「こいつは私のパートナーなの。残念だけど、あなたにはあげないよ。タクオだって私のこと、そういう目で見てたでしょ?」
ニヤリと笑う春香先輩。ばれていたか、僕はたしかに春香先輩に憧れていて、じっと眺めすぎていたかもしれない。
「タックン、その人のことが好きなの? 私のことはどう思っていた?」
「初春ちゃんはその……」
初恋の人。でもそんなこと言う度胸もない、ましてや本人と春香先輩の前で。
憧れの人、初恋の人、僕にとってはどちらも大切な人で、甲乙つけがたい存在。
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