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運命を信じる彼女
人口200人足らずの小さな小さな島。そこで私は産まれた。
狭くて娯楽もない島だけれど、皆で助け合って生きていた。
野菜もお肉もお魚も皆で分け合って。
この島では誰も悪いことをしようとも考えていない。
そんな穏やかな島で私はすくすくと育っていた。
さらに恵まれていたことに同い年の男の子もいた。
しかも、運命の相手。
これは私達が産まれる2年前に巫女であるおばあちゃんが予言したものだった。
それでなくとも唯一の同級生。
ずっと一緒にいるのは必然だった。
そうして温かく周りに見守られる中、これまた必然というように恋人になった。
運命。
その言葉に柊晴は嫌な顔をする。
私よりもずっと大人びていて、ネットを使って外の世界を知っている柊晴は非科学的なことを嫌っているのだろう。
けど、私はやっぱり柊晴は運命なんだと思う。
もちろん他の人を知らないけれど、きっとこのしっくりとくる感じは他の誰でもない柊晴じゃないと感じない。
この凹凸が噛みあうような。まるで元々一つであったような。
きっとそれは柊晴も感じているはずだ。
だって、ほら。
今もきっと彼は気づいていないけれど何か足りない部分を探すようにお腹の前で手を握っている。
これは彼の”来てほしい”合図。
私は少し微笑んで彼に乗っかり背中を預ける。
私のお腹の前で組まれた手が満足げに見えて、ああ、好きだな。と当たり前のことを確認するのだった。
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