パンデミックの世界で

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 「ゴメン、君に渡したいものがあって…ジュジュには内緒…」  メロン頭はそう言って、大きなリュックの中から総合風邪薬をひと箱出して、それを俺にくれた。  「えっ!?何で?これ…」    チラリと見えたリュックの中は、同じような箱でいっぱいだった。  ―――!?  もしかして…  ジュジュのあのキャリーバッグにも?    「詳しいことは言えない。ジュジュにも親方に怒られる…」  言いたいことも、聞きたいことも山ほどあったが、俺にはそんな時間はない。  残された時間はあとどのくらいだろう?  一刻も早く、この薬を綾に飲ませてやらなくてはならないのだ。  「スイカ君、ありがとう…」  「うん…メロンだけど…早く行って、綾さん助けてあげて!」  俺は心の中でカエルにも別れを告げて、自宅マンションに向かって一目散に走った。  急いでいるのに、足が鉛のように重たく感じた。  綾が待っているんだ…  動け俺の足…  走れタカシ!!  
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