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それにしても、街中だというのに全く人気がなく、車も走っていない。異様な静けさが逆に不気味だ。
ゾンパイアの姿も見当たらないのは、今が昼間だからだろうか。バンパイアの性質があるってことは、日光に弱いってことなのか?
ジュジュにもっと話聞けばよかったな…
そう思いながら走る足を速めて、ドラッグストアへと急いだ。
「あのネ…言い忘れたヨ…今どこもロックダウンしてるヨ」
全力で走る俺の隣にジュジュが涼しい顔で追いついてそう言った。
「今朝、政府が街を閉鎖したネ。外出禁止令ヨ。」
え?政府が?この国はロックダウンに関する法律がないからロックダウン出来ないって聞いたことがある気がするんだけど…
え…っていうことは、ドラッグストアもやってないんじゃ…
「だったら、薬、買えないじゃん!?」
俺がそう言った時にはもうドラッグストアは目の前だった。
そして、そのドラッグストアの扉はやはり固く閉ざされていた。
「そう、それを教えてあげようと思て追いかけてきたヨ」
マジかよ…
どうしたら…
俺は頭を抱えた。
綾の苦しんでいる顔が脳裏をよぎる。
これは人生最大の緊急事態だ。
四の五の言っている暇はない。
俺は意を決して、辺りを見渡して手ごろな石を見つけると、それをドラッグストアの自動ドア目掛けて投げつけた。
ガシャーン…
ウゥウゥーウゥウゥー
自動ドアが粉々に砕け散り、緊急通報システムが作動した。
…緊急通報システム作動したら、ロックダウン中って誰か駆けつけてくるのか?
いやいや、そんなことよりも、早いところ目当てのおくすりをゲットして綾の元へ急がないと!
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