03 サレ妻

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 それからひと月ほどたった昼下がり。  産婦人科を出た私の足取りは軽かった。先生に渡されたものをぎゅっと抱きしめた。  早く宏斗に伝えたいな、そう思っているとスマホが震えた。 『大事な話があるから、今夜夕飯を食べに行かないか』  宏斗からのメッセージだ。既に予約までしてくれているらしい、お店を検索してみると接待で使いそうな完全個室の割烹料理屋だ。  こんなところで何の話をするのだろう。でもちょうどいい、私だって大事な話がある。  指定された時間まではまだたっぷりある。うんと素敵な新しい服を買おう。そう思い立って私は近くのショッピングモールに進んだのだった。
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