04 悪役妻

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「冬子、本当にごめんなさい。私本当は入社した時からずっと宏斗のことが好きだったの。ずっと冬子がうらやましくて……本当にごめんなさい、宏斗を愛しているの」  営業成績が優秀な百合は男心を心得た発言をした。 「冬子……頼む!生まれてくる子供のために別れてくれないか」 「私のことは許してもらえるとは思っていません、償いはしっかりするから子供のことだけは許して欲しいの。私からもおねがいします!別れてください」  許すも何もそんな権限は私にはないのだが、涙を浮かべて許しを請う二人の前にいると私が悪者のようだ。流行りでいうなら悪役令嬢か。 「宏斗、実は私も今日は大事な報告があるの。聞いてくれる?」  私はカバンから産婦人科の封筒を取り出した。
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