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エコー写真が出てくるとでも思ったのだろうか、文字だらけの紙が出てきて面食らっている。でもさすがに少し見れば、何かの検査結果だとわかっただろう。
「これは精液検査の結果よ」
「せい、えきけんさ……?」
初めて言葉を覚えた幼児のように二人は言葉を繰り返した。
「あの日カップに出してもらったものは、人工授精に使ったんじゃなくて検査をさせてもらったの」
「な、なんて……?」
二人は驚きと疑問が先に出てきたようで、なぜ私がこの話をするのか理解できていないらしい。察しの悪い二人に説明することにする。
「結論からいうと、宏斗は無精子症なの。精液の中に精子がいないのよ」
「えっ」
二人の声がきれいにハモった。さらに説明を続けることにした。
「だいぶ前に私がフーナーテストという検査をしたのを覚えてる?まあ宏斗は覚えてないでしょうね、宏斗が何かする検査ではないし。性交後に私の子宮の入り口にある粘液中の精子を採取する検査なの。
あの時は宏斗を気遣って『精子を殺す抗体がないか等を調べた』と説明したけど『どれくらい精子がいるのか見る』検査でもあったの」
「まさか……」
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