05 全ての妻よ、さようなら

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駐車場に出て、車に乗り込む。 もう二度と家に帰らなくてもいいように荷物は詰め込んで来ていた。 ハンドルを握る手が震えていることに気づく。 二人の前では絶対に泣きたくはなくてなんとかこらえていたけど、ボタボタと涙は止まらずに落ちていく。 今夜は気丈に振る舞えたけれど、今日までどれだけ絶望したことか。よくぞ悪役女優を演じきったと自分を褒めてあげたい。 人に自分の意見を言う。弱気な私にとってそれは大きなことだったけれど、本当はこんなことで勇気を出したくなかった。 でも、ようやく言えた。 今まで宏斗に言われるがままで、百合にバカにされるだけで、何も言えなかったけど。 これからの私は、自由だ。 もう一度仕事をしよう。自分のために生きてみよう。 いつかは恋だってまたしてみたい。 つまらない妻はもう死んだのだ、新しい自分になるんだ。 夜の道を走る。他の車のライトがびゅんびゅん通り過ぎていって気持ちがいい。BGMのボリュームをあげた。このままどこまでも走っていける気がした。 ・・ 最後まで読んでいただきありがとうございました! この話は連載 異世界でもレスられてますの前日譚です。 冬子が転生した先の異世界ラブストーリー連載も始めました。 ざまぁやドロドロもない異世界ラブコメなので全く雰囲気は異なるのですが、よければそちらも読んでいただけると嬉しいです。 ありがとうございました!
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