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一日だけの二人
話す言葉さえ白くなりそうな2月の休日。
「やっぱり恥ずかしいな」
詩織は鏡の自分の眺めていた。背伸びをして買ってもらったスキニーパンツは、今更ながら足のラインが目立った。小さなヒップラインもくっきりだ。
もう迷っている暇はない。ニットのセーターにダッフルコートを着て、髪の上からマフラーを巻くと、待ち合わせの場所へと急いだ。今では1秒でも早く、1分でも長く、一緒にいたかった。
今日は心亜の協力を得て、両親への対策に万全を期していた。そして迎えた、夜まで一緒に居られる初めての日。そして恋人として最後の日だ。
場所はいつものように詩織が選んだ。東京なのに東京じゃないシーランド。アトラクションの他にも、レトロなアメリカや南ヨーロッパの港町をモチーフにした街並みが楽しめる。ちょっと大人な雰囲気に憧れていた海沿いのテーマパークだった。
「本当にいいの?」
「いいの、いいの。アトラクションより、瑛太と外国を散歩したかったの!」
パーク内に運河が流れ、様々な橋がかかった風景は、別世界のようにロマンチックだった。自然とテンションも上がり、恥ずかしかった腕組みも全然平気だった。
――今日は思い切り楽しむんだ。瑛太の為にも。
「あれ乗りたい!」
偶然を装って、狙っていたアトラクションに2人並んで乗り込んだ。
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