魔女の薬

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「こちらです」  案内された店は、薬を売っているとは思えない雰囲気だった。  どちらかというと雑貨屋のような。  薬は陳列されておらず、見回してもお香や石の置物、独特な形のアクセサリーといった、占いの店にありそうな商品ばかりだ。  少女はカウンターに入り、奥にある戸棚から何かを取り出した。  コトン、と音をたてて目の前に小瓶が置かれる。 「お試し用の商品なので、お代はいりません。もちろん、お試しと言えども、効き目は抜群です」  怪しいものであれば無視して店を出ようと考えていたが、無料と聞いて心を動かされた。 「サプリメントのようなものかしら?」 「違うとは言えませんが、効果は比べ物になりませんよ。この薬は、サプリメントのように毎日続けて飲む必要はありません。1杯飲めば充分効果が期待できます。副作用もございません」  少女の目が細められた。  その目が、何だか猫のようだった。
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