7人が本棚に入れています
本棚に追加
気を取り直して、いつものバーにでも行こうかと駅前を歩いていると、見知った顔を見つけた。
この前デートをした商社の男性だ。これから飲みにでも行くのだろうか。
今日は同僚と思われる男性と二人で歩いている。私は声をかけようと近くに寄るが、二人の会話が聞こえ、足が止まった。
「そういえば、この前バーで知り合った女の子とはどうなったんだ?」
同僚と思われる男性が話を切り出した。
きっと私のことだろう。彼は恋人と別れたばかりで、久しぶりに女性とデートをしたと言っていた。
私は声をかけずに、二人の会話に聞き耳をたてる。
「ああ、あの子ね……」
何故か彼は憂鬱そうな声をしている。溜息すら聞こえてきた。
「顔が好みだったから声をかけてみたんだけど、性格がね。一緒にいて楽しいことは楽しいけど、恋人同士とか結婚とか考えるとキツイかな」
衝撃だった。頭を石か何かで殴られたような。
え? どういうこと? あんなに楽しい時間を過ごしたのに?
「あの子、アラサーだよな? もっと若くていい子がいるって。合コンでもするか?」
彼の同僚の声が、さらに追い打ちをかける。こんなに若くなったのに、もっと若い子でないと意味がないの?
悔しい。悔しい。悔しい。
最初のコメントを投稿しよう!