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結局、同じことの繰り返し。
若返ったところで、また過去の自分と同じ結果になってしまう。かつての自分が犯した過ちをなぞっているだけ。
このままでは、また独り身の寂しい生活になってしまう。
ちょっとやそっと若返っただけじゃ駄目だ。
もっと若く、もっと美しく、微笑むだけで誰からも愛されるように。
性格なんて気にならないほどの溢れんばかりの若さが欲しい。
いてもたってもいられなくなり、私は商店街へと駆け出した。
あいかわらず、商店街の裏路地にある店は寂しげに佇んでいた。
もう19時を過ぎているが、まだ営業中のようだ。ドアに「OPEN」の看板が掛けられている。
「いらっしゃいませ。……おや、いつぞやの。お久しぶりです」
以前会った時から数十歳若返った姿でも、少女は私だとすぐに気づいたようだ。
いつもの張り付けたような営業用の笑顔で迎えてくれる。
飄々としていて、腹の底がわからない。
「薬の効果は抜群だったでしょう? どうですか、若い姿は。楽しんでいらっしゃいますか?」
私の表情を見れば、満たされていないことくらいすぐにわかりそうなものなのに、しらじらしい。
「楽しめたのは一瞬だったわ」
吐き捨てるように私が言うと、少女が目を見開いた。
興味津々、といった表現がピッタリのキラキラした目をしている。人の不幸を楽しんでいるかのような表情が忌々しい。
「おや、どういうことでしょう? お聞きしても?」
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