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「わ、お母さんから写真送られてきた」
見せてくれたスマホには、二歳の僕と紬が手を繋いで歩いている写真が写っていた。
「弦が二歳? 幼い! かわいい!」
「紬だってかわいいじゃん」
「こんな昔に、偶然知り合ってたなんてね、縁って不思議」
「いや、もう運命でしょ、僕たち」
小さい頃に一緒に遊んでいた僕たちが、時を経て同じ大学へ行き、知り合って付き合っている。そして母さんが友達に伝えたチャーハンを、娘の紬が僕に作ってくれた。こんなことって……。『偶然』なんて言葉では語れない、これはまさに運命なんだよ!
「弦って意外とロマンチストだったのね」
愛おしげに紬が笑うから、同じように微笑み返した。
「うちのお母さんがね、私と弦があまりにも仲が良いから、このまま大きくなって、二人が結婚したらいいのにねって、弦のお母さんとも話してたんだって」
「え!?」
紬は笑っているけど、それを聞かされた僕は慌てふためいた。そんな僕を見て、紬はまた笑った。
「このまま関係が続いたら、そういうこともあるよね?」
あぁ……僕はどうしたらいいだろう。心がきゅっとなる。たまらなくなって、ふわっと紬を抱きしめた。愛おしい気持ちがあふれてしまう。
「大好き」
「私も」
何気なく母さんが友達に伝えたチャーハンの作り方。こんなに時を経て、僕たちの出会いを運命的なものにした。偶然といえば偶然だったのかもしれない。でもこの偶然を運命にするのは、今後の僕たち次第だ!
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