4人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、王が殺された事に気付いた瞬間──
「反逆者だ! 殺せ!」
誰かの一声で、騎士達は俺に刃を向ける。
テラの子供から作られた、数々の武器を。
俺はそれらを、一つ一つ破壊していった。
そして、向かってくる騎士達の首も、王同様に斬り落として。
そこから先は、血を、熱を、奪い、奪われる、そんな戦いだけが続き……。
気がつけば、無数の屍が山となり、玉座の間は夥しい量の血で染め上げられていた。
俺は、千切れた右腕をそのままに、片目の潰れた状態でテラの元へと向かう。
そして、血に塗れたまま彼女をそっと抱き寄せた。
溢れ出る血が、止まる事なく、彼女を紅く染めてゆく。
死に近づくに連れて、僕はテラと初めて会った時を、思い出していた。
「君は、あの日僕と出会った事を、後悔しているだろうか」
その問いかけに応じる者は、誰もいない。
けれど、それで良い。
この独白は、出来れば君にだけ、聞いて欲しいから。
「テラ。言っておくけど、僕は後悔していないよ。この結末を望んだのは、僕自身だ」
許さなくてもいい。
憤ってもいい。
ただそれでも、与えられた、あまりにもふざけた運命だけは、この手で捻じ曲げてやりたかったんだ。
あの世にいけば、君に会えるだろうか。
そんなどうしようも無い事を考えながら、僕は君の亡骸を抱えたまま、穿たれた愛を抱いて眠った。
最初のコメントを投稿しよう!