【終章:竜仔愛穿つ。】

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 そして、王が殺された事に気付いた瞬間── 「反逆者だ! 殺せ!」  誰かの一声で、騎士達は俺に刃を向ける。    テラの子供から作られた、数々の武器を。  俺はそれらを、一つ一つ破壊していった。  そして、向かってくる騎士達の首も、王同様に斬り落として。    そこから先は、血を、熱を、奪い、奪われる、そんな戦いだけが続き……。  気がつけば、無数の屍が山となり、玉座の間は夥しい量の血で染め上げられていた。    俺は、千切れた右腕をそのままに、片目の潰れた状態でテラの元へと向かう。  そして、血に塗れたまま彼女をそっと抱き寄せた。    溢れ出る血が、止まる事なく、彼女を紅く染めてゆく。  死に近づくに連れて、()()テラと初めて会った時を、思い出していた。 「君は、あの日僕と出会った事を、後悔しているだろうか」    その問いかけに応じる者は、誰もいない。  けれど、それで良い。    この独白は、出来れば君にだけ、聞いて欲しいから。 「テラ。言っておくけど、僕は後悔していないよ。この結末を望んだのは、僕自身だ」    許さなくてもいい。  憤ってもいい。  ただそれでも、与えられた、あまりにもふざけた運命だけは、この手で捻じ曲げてやりたかったんだ。  あの世にいけば、君に会えるだろうか。  そんなどうしようも無い事を考えながら、僕は君の亡骸を抱えたまま、穿たれた愛を抱いて眠った。        
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