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「頭を上げよ、騎士フォリアよ」
「はっ」
玉座の間で、ルーク国王の声が響き渡る。
王の一声で顔を上げる俺は、優しい笑みを浮かべるルークを見上げた。
「貴様の活躍は耳にしておる。褒美をくれてやろう」
王がそう言い、手を掲げると、配下と思しき二人の男が、剣と盾を渡してきた。
「その剣と盾には、我が所有物であり、命令を確実に達成させる力、【王印】が刻まれておる」
王印。
王族の血筋には、印を刻み込んだモノへ絶対服従の呪いを刻み込む事ができる力がある。
前国王は、それを「禁忌の力」として封じていたが、現国王であるルークが、その禁忌を解き放った。
代償として、竜の血液が必要との事で、未だ量産には至っておらず、王印が刻まれた武器を手にする者は、片手の指で数える程しかいない。
しかし、王印の刻まれた武器の持つ力は絶大だ。
一人で魔物を百体狩る事も、千の軍勢を相手取る事も。
そして何より、竜を殺す事だって出来る。
そんな代物が、俺の手に。
(──殺せる)
俺は剣と盾を受け取り、王に高く掲げた。
これでようやく殺す事が出来る。
忌々しき、あの竜を。
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