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王印が刻まれた武器を手にして、半年が経った。
そこで俺は、とある情報を得て、今は無き故郷の村へと足を運んだ。
そして、そこに横たわるモノを見て、俺は思わず口角を吊り上げ、笑う。
「……やっと。やっとだ。やっと会う事が出来た──テラ」
俺の呟きに、此方へと顔を向ける、竜化したテラは、瞠目するように目を見開き、そして、陶然とした様子で声を放った。
【大きく、なったのだな。フォリア】
「ああ。お前を殺す為にな」
言葉を交える気は無い。
俺は剣を抜き、盾を構えて、テラの元へと駆け出した。
王印の刻まれた力のおかげで、身体能力は大きく上昇している。
これは、王印の加護によるもので、所有者の願いに反応し、力を授けてくれる。
俺が望む願いは一つ──眼前に聳える忌まわしき敵を、この手で屠り去ること。
俺は横たわるテラ目掛け、剣を振り下ろす。
しかし、その一撃を寸前で躱され、俺は更なる迫撃をかける。
その度に躱され、防がれるが、奴の動きは酷く鈍い。
既に衰弱しているように見えるが、関係無い。
奴を殺す、絶好の機会だ。
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