【三章:穿つ運命。】

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 彼女は、元より前国王の良き親友として、関係を築いてきた竜だと言う。  しかし、前国王はルークの差金により、暗殺される。  国王にしか扱う事の出来ない禁忌の力──「王印」を欲していたルークは、その力を無理やり継承させ、テラに刻み付けた。  彼が欲したのは、竜の力と、その素体。  竜の血には、古来よりこの世ならざる力を与えると謳われており、その力を有する事で、他国への牽制、主導権(イニシアチブ)を得ようとしていた。  その結果生まれたのが、竜の素材を使った武器。   俺が渡された剣や盾には、竜の牙や爪、鱗や血液が使われており、竜の素材を組み込まれた武器は、所有者に絶大な力を与えた。  それら竜の素材は全て、ルークが彼女(テラ)に産ませた、竜の子供だった。  人になれた彼女を弄び、無理やり竜の子を産ませ、殺し、己の私利私欲の為だけに、竜の子を解体し、武器に落とし込んだ。  そこに彼女(テラ)の感情は、一切含まれていない。  彼女は国王から、王印を刻まれ、欲望の捌け口にされ、子を奪われ、殺され、道具にされ。  そして、村を襲わせ、その生き残りであった俺に、用済みとなった彼女を始末させる為に情報を流した。
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