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全て、上手くいっていた。
全ては王の、掌の上だった。
「嘘だ」
俺は言った。
認めくなかったから。
「事実だよ」
彼女は言った。
死ぬ寸前の竜は、かつて愛した女と同じ姿で、血を、熱を吐き出しながら。
「──嘘だと言えよッ!!」
俺は叫んだ。
もはや、叫ぶ以外に、何をすればいいのか、どうしたらいいのか、わからなかった。
そんな俺に、彼女は優しく笑いかけた。
村にいた時と同じ、優しくて、温かい笑顔を。
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