【三章:穿つ運命。】

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「テラ……」 「……フォリア、泣くな。これはもう、決められていた事なんだよ。王印を刻まれた時点で、私の運命は確立していた」 「だからフォリア。これは君にする、最初で最後のお願いだ。──どうか、復讐なんて考えず、私を忘れ、王国を抜け、何処か平和な場所で、暮らしてほしい」 「──君だけはどうか、この呪われた運命から、解放されてくれ」  頬に当てられていた指が離れ、血溜まりの中へと沈んだ。  系が切れた人形のように、静謐で、そしてどこか作り物じみた笑顔を浮かべたまま、彼女はそのまま、息を引き取った。  俺は暫く、茫然と彼女の死に顔を眺め、亡骸を背負い、歩き出した。
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