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【終章:竜仔愛穿つ。】
そこから先の事は、あまり覚えていない。
ただ一つ言えるのは、彼女の願いは叶わない、という事だった。
彼女の亡骸を背負い、俺が向かったのは、王のいる玉座。
足を踏み入れ、塵は彼女の亡骸を認めた瞬間、声をあげて、大いに喜んだ。
ベラベラと御託を並べ、テラの死を嗤い、侮蔑し、最後の最後まで、彼女の全てを踏み躙っていた。
テラ。
君は俺に、こう言った。
復讐なんて考えず、私を忘れ、王国を抜け、何処か平和な場所で、暮らしてほしいと。
君だけはどうか、この呪われた運命から、解放されてくれ、と。
ごめん、テラ。
悪いけどその願いは、叶えない。
俺は軽く息をつき、声をあげて嗤う、人の皮を被った悪魔の首めがけ──竜の素材で出来た剣を、振り抜いた。
一瞬の出来事で、周りにいた配下も、騎士達も、王の首が転げ落ちる瞬間を、呆然と見つめていた。
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