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☆4源五郎
言えなかった。俺がお前を殺したなんて。
しかも幽霊にした張本人を、手前のじいちゃんだと思ってる。馬鹿だ。超がつく大馬鹿だ。俺が何も考えず手にかけたのは、こんな能天気な…いい奴なのか。
ちゃぶ台にメモが現れた。
読んで、泣いた。
俺は、どうすればいい?
※※※
自分で生み出した幽霊に怯えた。
雨が降らない限り、家で俺はひとりだ。朝飯も作ってはいた。だが、アイツの足音がするたびに、居間の黒電話が鳴るたびに、胸も頭もぐちゃぐちゃになった。
どうすればいい? どうすればいい?
命じる人間は、誰もいない。
夜。
震えて電話を取ると、職場からだった。明日から来なくていいという。
きっと昔のことがバレたのだろう。お世話になりましたと言って切った。
と、玄関のチャイムが鳴った。
「源、居るんだろ?」
総毛立った。
リーダー⁈
開けろという命令に従い、鍵を開けた。
長い金髪に眼鏡の優男。見た目だけは。
「探したよ、なんで僕のところに戻らないの?」
「…俺ぁもう、チームには戻れませ…」
横っ面を何度かはられてよろめいた。髪を掴まれる。
「キミは、拾った恩も返さない馬鹿じゃないよね。僕は優しいから、逃げた不義理は許してあげる。戻るよね、源」
ずっと、返してきたつもりだった。
いつも命令に従った。何でもした。殺しまでした。この上、何をすれば恩を返したことになるのだろう。
「……ですが」
鳩尾に一発くらって息が詰まった。
「戻るよね、源?」
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