第一章 無限海水浴場の闘い その3

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「あの~、皇帝様ぁ」  サリタル皇帝の斜め後ろに立つハッカ嬢が彼のTシャツの袖をくぃくぃと引っ張る。 「なぬっ?! 皇帝さまぁ?! おい! 冗談はよせよ! お嬢ちゃん?!」  長身の男の顔にやや焦りの表情が見えた。 「あの~、こちらにいらっしゃいますのは・・第7銀河・元・バスタブ帝国第540代皇帝のサリタル様ですぅ」  ハッカ嬢がニコニコしながら答え、続けて宣う(のたまう)。  元・・という言葉にやや眉をひそめるサリタル皇帝。 「あと。これが商売の許可証ですよねェ?」  目ざといハッカ嬢が腰に下げた帳面の一番後ろのページを前の二人の男に見せる─── そこには、第6銀河の中心核の巨大ブラックホールの降着円盤と上下に飛び出すジェットを表した背景に、想像の怪物である6つの頭のカマキリをあしらったケス・テレス王国の金の紋章と女王の花押(サイン)が刻印されていた。 「なんだぁ? その変な絵は?」  やや背の低い男がにやけた顔で帳面に触ろうとする───と、 「バカヤロウッ!!お前は何も知らねぇのかっ?!」  長身の男は連れであるやや背の低い男を一喝し、平手で頭をぶっ叩く! 「これは・・これは・・皇帝様でしたか・・アハハ・・とんだ失礼を致しましたぁ!・・どうか、ご容赦くださいますようお願い申し上げます!・・アハハ・・」  長身の男は手もみしながら低頭のままやや背の低い男を小脇に抱えるようにして後ずさりするとアタフタと駆けだしていった。 「いや。 なかなか気が利くではないか! ハッカ嬢!」  サリタル皇帝がニコニコと微笑みながら横にいるハクア君・・いやハッカ嬢を見やる。 「ええ。なにしろ私はスーパーハイパーアバターアンドロイドのハクアF型ですから? こんな交渉はお手のモノですわぁ?」 「ワッハッハッハッ!」  サリタル皇帝とハクア嬢は同時に笑いだす───
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