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「あのう……そうは言っても、精力増強にいいのを選べったって……どの金魚も同じように見えて、違いも見た目からじゃ全然わかんなく…」
金魚たちは俺たちが近くにいると、警戒しているのか危険を察知しているようで、慌ただしく凄い速さで泳ぎ回り、時に威嚇するかのように飛び跳ねて大容量の豪快な水飛沫をかけてくることもある。
現に今もまさに金魚たちはそんな状態で興奮状態だ。
その水飛沫の威力は激しく、以前より何人かがふっ飛ばされて大怪我を負っている。
危険を伴う作業の為、ほとんどの古株連中はすぐに若手へと押し付けてくるもんだから、若手の不遇待遇の者たちは職場環境への不満が爆発しかけなのだ。
「タガメの女王が、満足できるだけの精力が相手の雄に必要なんだよ!この強い水亀国のためにも“跡継ぎ”が必要だってな」
気怠げに言いながら、『ぐずぐずするんじゃねえっ!』と俺の尻を強く蹴ってさらに近くへと押しやる。
「それにお金魚様のおかげで、わしらは餌にされずに済んでる。頭の悪いおめぇにだってわかってるだろうが!」
「そ、そうだけど……」
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