天球の夜明け

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「寒……」  外は肌寒くて身を縮めた。いや、きっとそれだけじゃないな。安達さんに会えなくて心に穴が開いてしまったんだ。  空を見上げると、いくつか明るい星が見える。先週話してた秋の星座、ちゃんと見つけ方を聞いておけばよかった。  視界がぼんやりと歪んで、星の光が滲む。  あ、泣くみたい…… 「なにか星座は見つけられた?」  その声に驚いて振り返る。そこには安達さんの姿があった。 「秋の四辺形を構成する星座の一つであるアンドロメダ座は聞いたことがあるかな? まずは真上を見上げて四辺形を探す。これが秋の四辺形。そしてその北西の星がアンドロメダ座の一部になってるから、それを頂点としてAみたいに並んだ星を探す。それが星座の頭の部分になってるんだよ。見つけられそうかな?」 「どう…して、ここにいるんですか」 「先週、理香さんにお休みするって伝え忘れてしまったから、今日来ているかなと思ったんだ。母親が腰を痛めてしばらく実家の仕事を手伝うことになってね。会えてよかった」  安達さんの声に安心すると、押さえていた感情があふれ出した。 「私……もっと安達さんの話、聞きたいです! 今度はちゃんと起きてますから!」  安達さんは優しく笑った。 「じゃあ、これから食事でもどうかな? 星の話なら朝までだってできるよ」 「はい、喜んで!」  たくさん話を聞こう。夜明けまで星の話を聞いたら、その後はあなたの話を聞かせてくれませんか?
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