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翌週、いつものように私はプラネタリウムを訪れた。
「大人一枚、お願いします」
奥から出てきたのは、知らない若い男の人だった。
「君が『眠れる天球のお姫さま』かぁ。安達さんから話は聞いてますよ」
「なんですかそれ!?」
変な呼び名に思わず声をあげた。
「私も詳しいことはよく分からないんですが。安達さんが嬉しそうによく話していましたよ」
お姫さまって……幼少期以外に呼ばれたことのない言葉に思わず顔が熱くなった。
「今日、安達さんはいないんですか?」
「今週からご家族の事情で一か月休職しているんです」
「そうなんですか……」
「それで申し訳ないんですけど、ナイトプラネタリウムはしばらくの間お休みさせていただきます。安達さんじゃないと星座の解説できないので」
そう言われて仕方なく施設を後にした。
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