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美晴は彼におすすめのメニューを聞いて「キッシュかな」と答えられた。ならそれを食べに行くと言ったところ、言われたのだ。
「じゃあ次の火曜日に来なよ。キッシュ、その日に出すからさ」
あの言葉は何だったのだろう。
美味しいキッシュのあるお店、店長がイケメンなどなど。SNSの情報をたくさん読み、ならばランチが最適だ、と確信して訪れたこの店で、美晴は結局キッシュにはありつけていない。
すべてを食べ終え、デザートまで完食後に、美晴はタイミングを見計らって店を出た。店主ではなくバイトが会計をしてくれるタイミングだ。
感想を送るべきかしばらく悩んでから、それでも、と蒼佑のアカウントをメッセージの一覧から探して送る。
『豚のやつ、美味しかった』
2人が出会ってもう12年。返事は、初めてこなかった。
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