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イーゼルの間をぬって掃除機をかけていると、突然、ドンっという音がした。廊下から、神野康がなだれ込むように美術室に入ってきたのである。しかもなんとパンツ一枚で。
美術室の床に転がる彼のあられもない姿を茫然と見つめていると、ドアが閉まる音がした。そして、廊下側の窓から、知花一派がこちらに手を振っているのが見えた。そのうちの一人は、手の中の鍵をこれ見よがしにわたしに見せていた。
わたしは部屋の入口に駆け寄り、ドアを開けようとしたが、案の定、鍵がかかっていた。
わたしの様子を見て、知花一派は笑いながら去って行った。
察するに、さっきわたしが神野康を助けるために教師を呼ぶふりをして彼らをだました仕返しなのだろう。なんて幼稚な奴ら。
「さっきの仕返し、だと思う」
振り返ると、色白のヒョロとした体をさらしたパンツ一枚の神野康は、意外にも開き直ったように堂々と床にあぐらをかいて座っていた。
「でしょうね。それで、あんたはどうしてその格好なの?」
「おねえさんとぼくがお似合いだから、協力してやるとかなんとか言って、奴らに脱がされた」
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