どこにあるもの

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 わたしは、あの二人を運命だと思っていた。運命というものは定められたものである宿命とは違って人の力で動かせるもの、昔なにかで読んだその言葉がずっと私の運命の定義だ。  あの二人は、いくつかの困難がありながらも一緒にいる。一緒にいることを選んでいると言ってもいい。少なくともわたしにはそう見えた。だからわたしはあの二人を運命だと思っている、いややはり思っていた。だってあの子は。  あの二人が道を違えた理由はよく知らない。ただいなくなったあの子の方が何か思うところがあったことだけはわかっている。  残されたあの子はずっとどうしてと言っている。私の答えがまずかったのかと。  それを聞きだすことはどうしてか憚られた。ただわたしは今までと同じ距離であの子のことを見ている。
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