61人が本棚に入れています
本棚に追加
最終回?
▼卒業式後
三年間続いた咲花学園のお姫様と王子様
細波雫と
間宮奏対決も
これで見納めとなる。
「ねぇ、奏。」
少し先に行く彼に声を掛ける
『なんだ?』
「このくだりもこれで最後だね。」
いつからか奏と始めた
じゃんけんして負けた方がジュースを奢る遊び
奏が勝ったらカフェオレ
僕が勝ったらいちごみるく
ただの遊びだったのが、周りが騒ぎ始めて
何故か学園の名物対決になってしまったのだ。
『そうだな…。
これで負けて悔しがる雫見るのも見納めか!』
振り向いて悪戯っぽく笑う。
「本当に奏は子供っぽいよね!
あーあ、ここまで仲良くなると思わなかった。
最初は奏の事嫌いだったし!」
『なッ!雫は俺のこと嫌いだったのか!』
さっきまで笑っていた顔が変わり、
今度は子犬のような顔をして落ち込んでいる
そんな奏が最初は大嫌いだった。
「今は違うよ。」
僕が周りに好かれるには努力して
偽った可愛い細波雫にしないと駄目なのに、
奏は性格も良くて愛想が良いから
偽らなくても皆から好かれてる。
そんな彼がどうしようもなく羨ましくて
嫉妬してたんだよね。
『今は?』
奏と一緒に居る事が増えて、
案外抜けてる所とか
綺麗な顔してるのに笑い方は豪快な所とか
頭はいい癖に鈍感な所とか
頭の中が奏でいっぱいになるくらいには
「そんなあほづらしてる馬場な奏が好きだよ」
『えっ…』
返ってくる返事が告白だと思ってなかったのか
困惑した表情にまた変わってしまった
ちょっとは表情を上手く隠せないかな。
まぁ、そこが彼の良さでもあるんだけどね。
「そんな困った顔しないでよね!」
分かってたはずだったのに、
いざ目の前で見ると胸が凄く痛い。
そんなぽんこつを好きになったから
仕方ないんだけど、恋って本当厄介だ。
「じゃあ、勝負しよっか。
僕はパーを出すから
僕と付き合ってくれるなら
僕に負けて、いちごみるく奢ってね。」
奏が何か言う前に話を続ける
こんなことしても結果なんて変わらないのにね。
「ほら行くよ!!
じゃんけんぽん!!!」
(お願いだから僕の事を選んで。)
選ばれるはずがないと思いながら願っている僕は奏よりずっと馬鹿だ。
最初のコメントを投稿しよう!