決着をつける時

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数時間前… 紗羅は 聖に “私達…別居…しよう…” と告げ 伊織と共に実家へと戻った… 聖は “……わかった…” そう…ひと言だけ…… 実家の玄関に入ると 母が飛び出してきた… 母は…紗羅を抱きしめて泣いた… 母の後ろで 父が “外泊許可をもらってね…” と優しく微笑んでいた… 紗羅は 初めて 子供のように 母に抱きしめながら泣いた… “お父さんが お風呂を沸かしてくれているから 先に入りなさい 今日は疲れたでしょ?” 母が優しく言う… こんなに穏やかな母を見るのはいつぶりだろうか… 風呂から出ると 夕食が用意されていた… “今日はね あなた達が、いつ帰ってくるかわからなかったからカレーにしたわ” 母がいそいそと食事の用意をしている その姿を 嬉しそうに父が見つめる… 風呂場から 伊織の 微妙に音の外れた歌声が聞こえてくると 母が “相変わらず 伊織は音痴ね” と声を出して笑った… 昔… 紗羅が 求めて止まなかった 『家族団欒』が目の前にあった…
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