決着をつける時

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決着をつける時

紗羅が… じっと… 俺の事を見てる… 人って… こんなに悲しい表情ができるんだ… 胸が しめつけられる… 紗羅の瞳から 涙が… 一粒…こぼれて落ちた… 知っていたんだ… 何一つ… 隠せてなかった… ずっと… 紗羅を苦しめていたんだ… “ここで騒ぎを起こすのも問題でしょ?” 伊織君が 俺を睨みながら言う “部屋をとっていますから ……そちらの川野さんもどうぞ…” 敦子さんが冷ややかに言う “随分と手回しのいいことね でも 私は関係ないわ” 優香里がそう言って席を立った時… 敦子さんが 優香里の前に立ちはだかり “関係ないわじゃないんですよ わかりますね… ご主人にも 部屋で待っていただいてますから…” “なっ!” 優香里の顔色が変わった “逃げんじゃねえよ… この… 淫乱性格ブス” 敦子さんは 優香里に そう言い放つと 優香里の手首を力一杯握る “逃がすかよ…” そう言うと 優香里を睨みながらニヤリと笑った “行くわよ” 敦子さんが 俺に声をかける 会計を済ませると 用意された部屋へと 紗羅 俺 敦子さん 手をガッチリと握られた優香里 ドアの一番前に伊織君 5人がエレベーターに乗り込んだ… 紗羅は… 俺の隣で ずっと俯いたまま… 何も言わなかった 紗羅は 泣いていなかった… だが… 俺には 泣いているように見えた… 心が…悲鳴を上げているように見えた… 俺のせいだ… 俺の人生は終わった…
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