決着をつける時

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“おかえり…” 紗羅は 少し緊張気味に言った “た……ただい………ま……” 聖の目から 涙が止めどなく流れる “紗羅…ごめん…” 紗羅は黙って聖の背中を撫でた… “疲れたでしょ?… お風呂…入って…… 今日…仕事でしょ?… 少し…何か食べないと…” “うん…” “もう…時間が遅いから 鍋焼きうどんでいい?” 紗羅はそう言うと 追い焚きのスイッチを入れて 聖の着替えの準備をしだした… 聖は 何を言えば良いのか… 何から話せば良いのか… 考えがまとめられないでいた… 黙ってソファーに 俯いて座り じっと…床を見つめた… そんな聖を見ながら 紗羅は 鍋焼きうどんの準備をしていた… 具材は全て冷凍してある… 椎茸も葱も 安い時に買っては 切り方を変えて冷凍してある… 出汁もたくさん作って 100円ショップに売っているふた付きの製氷皿で冷凍している… 聖が風呂から出てきたときには 鍋焼きうどんが出来上がっていた… 天かす・とろろ昆布・椎茸・葱 “蒲鉾の買い置きがなくて 代わりに月見にした…” そう言いながら テーブルに並べている… “紗羅…” 聖が言いかけると “話は… ちゃんとご飯を食べてから…” 聖の言葉を遮って 紗羅が俯いたまま言った…
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