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帰る途中
“コーヒー飲むか?”
信一はそう言うと
コンビニの駐車場に車を停めた
“お父さん…
お母さんはね…”
紗羅が初めて口を開く…
“後悔してるんだと思う…”
“え?”
車から降りようとしていた信一が驚いたように紗羅を見る
“父さんと話したかったんだと思う…
辛かったこと
悲しかったこと
わかってほしかったんだと思う…
だから
私に…話せと言ってるんだと思う…
お父さんにわかってほしいのよ…
お父さんの事大好きだから…”
信一が
“そ……っか……”
と少し俯きながら言う
“お父さんがしたことは
忘れることはないし
傷ついた心も……そのままなのかもしれない…
わかってほしかったんだ
信じていたこと
裏切られたこと
どんなに悲しいか…
必死で訴えていたんだと思う…
やり方は…
自分本意で…
私達の事も目に入ってなくて悲しかったけど…
話し合えば良かった…
あんな事言わなきゃ良かった…
母さんも後悔してるんだと思う
もっと違う伝え方をすれば良かったなかって…
ずっと迷って悩んできたんだと思う…
何が正解だったかなんて
誰もわからないけど…
だから
私にってきなさい
その後は
どんな結果であれ
受け止めるつもりなんだと思う…”
紗羅の言葉に
“まいったな…
紗羅から
気づかされる日が来るなんて思わんかった…“
信一が静かに言う
“紗羅…
行こうか…
父さんは、この日を忘れない…”
“うん”
紗羅も頷く
忘れない…
忘れられないのではなく…
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