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帰って来るとわかっていたら
リビングの灯り
消さなきゃ良かったな…
紗羅は
ベッドから出ると
リビングへ向かい
部屋の灯りをつけ
ソファに項垂れて座っている聖に
“おかえり…”
と声をかけた
驚いたように振り向いた聖は
“た………だいま……”
そう言うなり
ポロポロと泣き出した…
紗羅は
無意識に聖を抱きしめていた…
“紗羅…ごめん…”
紗羅は黙って聖の背中を撫でた…
ああ…
聖の匂いだ…
“疲れたでしょ?…
お風呂…入って……
今日…仕事でしょ?…
少し…何か食べないと…”
聖の顔を覗き込みながら言う…
“うん…”
“もう…時間が遅いから
鍋焼きうどんでいい?”
そう言うと
準備にとりかかった…
何かしていないと落ち着かない
風呂から上がってくると聖は
“”紗羅…”
と何か言おうとしたが
“話は…
ちゃんとご飯を食べてから…”
聖の言葉を遮って
紗羅は俯いたまま言った…
長い沈黙の中
聖が動かす箸の音と
紗羅が黙々とキッチンを片付ける音しかしなかった…
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