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母が退院した…
『お祝いの食事会をするので
聖君とおいで…』
電話のむこうの父の声は弾んでいた
日曜日
聖と2人で実家に行くと
エプロンをつけた
父と母が
一緒に料理をしていた…
もちろん
アルコールはないが
あの夜に見た
母と同じ…
しっかりと焦点のあった目で
父と笑いながら台所に立っている…
あの夜よりも血色が良いようにも見える
まだ…
手放しでは喜べないけど
久しぶりの家族団欒だった…
聖が
両親に
“ご心配をおかけしてしまって…
本当に…
申し訳ありませんでした”
と頭を下げると
父は
“心配したよ…
世の中には信じられない人がいるもんだ…”
と言い…
母は
“女はね
旦那さんがわかってあげないと
一人ぼっちになってしまうから…
紗羅の事
お願いしますね”
と聖に頭を下げた…
伊織が
“でも
結局は義兄さん達はお咎めなしだったんだろ?”
と割って入ってきた
“うん
中山が、うちの上層部にきちんと説明してくれてね
中山も僕も被害者だと言うことがわかってね”
警察から
ずっと捜査していた昏睡強盗を逮捕できたことで会社にお礼の連絡も入ったこともあり
何もペナルティが発生しなかった…
むしろ
『わが社のイメージアップにつながる』
と誉めてくれる幹部までいたそうだ…
“ところで
伊織はいつの間に
あっちゃん達に加わったの?”
と尋ねると
“姉ちゃん
慎吾にあっただろ?
あいつが言ってきたんだ
『姉ちゃんが朝早くから泣きながら歩いてた』って
あっちゃんに聞いたら何かわかるかと思って連絡したんだ…”
そうだったんだ…
ふと聖を見ると
少し驚いたように
こちらを見つめていた
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