『白いかみさま』

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『白いかみさま』

 むかーしむかし。雪のように白くて、金色に光りかがやく目をもつたくさんのかみさまがいました。   かみさまはそれぞれ大地や海、山、空などのしぜんを生みだし、わたしたちが生きるこの世界をつくりました。  しかし、はてしなく広がるしぜんを自分たちだけで守っていくのはむずかしく、げんかいがありました。  そこで、かみさまは自分たちのぶんしんを多く生み出し、いっしょにしぜんをゆたかにし、おさめていくことを命じました。  こうして、世界は白いせいめいでいっぱいになり、しぜんもうつくしくなっていきました。    けれど、かみさまのぶんしんとそれらから生まれたあたらしいせいめいは、しだいに〈欲〉をもつようになりました。  おさめるしぜんをうばい合ったり、自分がいちばんになりたいがために、他のせいめいとあらそい合ったりと、たがいにきずつけ合うことがふえていきました。  そんな〈欲〉がたくさんのせいめいをくるしめ、やがてかみさま以外のせいめいは、みんな白くなくなっていきました。  しぜんもだんだんとかがやきを失っていき、かみさまはひどく悲しみました。  やがてかみさまは、せいめいの前からすがたを消してしまいました。
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