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手を置かれたままの肩を気にしつつ振り返れば、浜崎さんは腰を屈めてニッコリ笑う。
「美桜ちゃん、いい加減にご飯行こうよー」
「えへへ、いつもタイミング合わなくてすみません。今週もちょっとバタバタしてて……」
「えー、先月も先週もそんなこと言ってなかった?」
「いやいや、本当たまたまでー」
愛想笑いを浮かべつつ、近すぎる顔を遠ざけようと椅子を右側にずらしたが、それ合わせて浜崎さんもついてくるから困る。
「高級ホテルのバーとかでパーっとさぁー?仕事の愚痴とか聞くよ、俺?」
「いや、愚痴なんて……全然ないです」
「またまたぁー」
強引な浜崎さんに困り切って、机の向かい側で頬杖をついてジトっと見つめていた片寄さんに助けを求めるように視線を送ると、ため息をついた彼女は低い声を吐き出した。
「浜崎、あんたね〜しつこいよ」
「でたよ、保護者」
チッと舌打ちをした浜崎さんに片寄さんは眉をピクリと動かして「はぁー?」と少し大きめな声を出す。
「とにかく、しつこく誘わないで。長内ちゃん困ってるでしょ?」
「…まあ、また今度時間あるとき誘います」
「…まだ懲りてないのか。大体長内ちゃんみたいな可愛い子があんたを相手にするわけないでしょ?いい加減気付きなさいよ」
「はっ?!」
「か、片寄さん…」
随分と苛立っている様子の片寄さんは腕を組んで中々に失礼なことを言うからこちらが焦る。
どうしよう……こんな言い合いになるとは。
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