優しい悪夢

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「今日もだね」 寝室に戻ると、夫がベッドサイドに座っていた。 「ごめんね朝陽(あさひ)くん、起こしちゃった」 「ううん」 朝陽はひとみが脱ぎ捨てたパジャマを丁寧に拾い上げた。 「自律神経が乱れて、ホットフラッシュっていう症状が出てるんだと思う」 朝陽は仕事のときの顔をしてひとみを見る。 「ここ最近毎日……眠れたと思うとすぐ熱くて目が覚めるの」 言いながら途方に暮れる。 今日も仕事なのに時刻は5時。あと1時間で家を出ないといけない。 連日睡眠時間は2時間程度だった。 それでも不思議と眠くならず、職場で倒れることもない。 休日は泥のように眠っているからだろうか。
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