優しい悪夢

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研修医の指導をし、カルテを書いて帰宅すると22時過ぎ。 珍しく家の中は真っ暗だった。 そっと寝室を覗くと、すでにひとみは穏やかな寝息をたてていた。 新しい薬が効いたらしい。 寝室のベッド脇のサイドテーブルには、残薬の入ったひとみのピルケースが置いてある。 その残薬を抜き取り、後輩の精神科医に朝陽がもらった睡眠薬と入れ替えた。 ひとみが今日もらってきた薬と同じだ。 後輩の精神科医は、ひとみの通う心療内科に外勤している。 医者の世界では外勤というのは当たり前で、例えば大学病院に勤めながら町のクリニックや総合病院でバイトをしている者が多い。 医者が高収入という世間の印象は、この外勤で得た収入も込みの金額である。
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