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朝陽の後輩は、ひとみの主治医だった。
このことをひとみは知らない。
朝陽が後輩を口止めをしているからだ。
薬の処方は、実質朝陽がしているようなものだった。
精神科医でなくとも、最低限の睡眠薬の知識は朝陽にもある。
ひとみが作ってくれていた夕飯を食べ、シャワーを浴びて寝室に戻ると、ひとみは荒い息をしてうなされていた。
固く閉じられたまぶたからは涙が幾筋もつたい、噛み締めた唇は真っ赤になっている。
「2時間ってところか」
朝陽は時計を見て呟き、ひとみの隣に滑り込む。
広いクイーンベッド。その端っこに悪夢から逃れるように小さくなるひとみを腕に抱いた。
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